2025/12/25 14:03

 

パッケージデザインは社内コンペにしようと思います!

なので、詳細をオリエンシートとしてまとめていただければありがたいです。

よろしくお願いします!

(社長メッセージより一部抜粋)


「オ・・・オリエンシート!?」

2025425日。
初めて聞く業界用語から始まった、オリジナル商品作り。
今回は、クリスマスに発売されたばかりのグルテンフリー醤油ひだまり醤油” ができるまでを、デザイン事務所の社内コンペに初参加した時の体験を交ながらお届けする。
いつか役に立つかもしれない、「雑貨店の裏側」(デザイン事務所の裏側?)をお見せする。
雑貨店(クライアント)側の私から見た視点となる。

 

目次

  1. 社長の一声で始まった香川の食プロジェクト
  2. 商品化への道のり
  3. 謎のオリエンシート
  4. オリエンテーション当日
  5. 21案の熱量!デザイン案プレゼン当日
  6. どれを選ぶ?迷いに迷った最終決断
  7. ついにご対面、ひだまり醤油誕生!
  8. 惜しくも日の目を浴びなかった珠玉のデザインたち

 

1.社長の一声で始まった香川の食プロジェクト

アイダシュンは、デザイン事務所が運営する雑貨店だ。
アイダシュンは、店舗の1階にあり、2階はグルテンフリー/プラントベースのうどんレストランとなっている。
(頭の周りに「?」が浮かんでいることだろう)

そんな雑貨店で、「香川の食を取り扱いたい」 と、社長からのご所望が下り、レストランでも使用しているグルテンフリー醤油を販売することになった。

製造元は、香川県・小豆島の醤油メーカータケサン株式会社さん。ところがこの醤油、卸し以外のでは海外販売のみ。
「だったら、うちのデザイン事務所でラベルデザイン諸々を担当し、国内販売向けに作ってしまおう!」ということで、スルスルと話がまとまった。
初の国内向け商品 誕生だ。(パチパチパチ)

冒頭の言葉は、オリジナル商品化すると決まった時の、社長の指示メッセージで圧。もとい、メッセージである。

 

2.商品化への道のり

発案から完成までの簡単な流れを、最初にサクッと書いておく。
(デ:デザイナー側|雑:雑貨店側)

  1. 発案(こんな商品が作りたい!)
  2. (デ・雑)スケジュール調整
  3. (雑)オリエンシート作成
  4. (雑)オリエンテーション
  5. (デ)デザイン考案
  6. (デ)プレゼンテーション
  7. 第一回コンペティション
  8. (デ)デザイン再考
  9. 第二回コンペティション「デザイン案決定」
  10. (デ)デザイン微調整
  11. 完成(わーい🙌

これと並行して、価格設定や販路開拓、キャッチコピーを考えたり、POPの作成なども行う。

3.謎のオリエンシート

まずは、発売までのスケジュールを醤油の充填時期に合わせて立て、オリエンシート作成に取り掛かる。

そもそも オリエンシート が謎だった。
調べてみると、こう説明してあった。

“広告キャンペーンを始動する際、広告主(クライアント)が広告代理店に対して、企画の目的や商品情報、予算などの詳細を伝えるために作成される文書が「オリエンテーションシート(通称:オリエンシート)」です。
このシートは、初回説明会である「オリエンテーション(オリエン)」で配布され、プレゼンテーション(プレゼン)準備の土台となります。関係者が共通認識を持つための基礎資料として、非常に重要な役割を果たします。”

(「広告代理店の未来を考えるブログ」より)


ほうほうほう。
広告キャンペーンとは少し違うが、要は、デザイナー陣向けに「どんな商品か」をまとめた紙ってことか。

ということで、今回のオリエンシートには、

  • 香川の醤油造りの歴史
  • 醤油メーカーやグルテンフリー醤油について
  • 商品のスペック
  • デザインするラベルのサイズ
  • ターゲット層
  • 他社商品との比較
  • 先方への問い合わせ回答

などを盛り込み、3枚にまとめて共有した。

 

4.オリエンテーション当日

2025514日。
デザイナー陣を含む10人が会議室に集結。
オリエンでの説明中、みなさんが熱心に真剣に耳を傾けてくれることが、ひたすらに嬉しかった。その後、販売予定の醤油や、他社のグルテンフリー醤油テイスティングをし、最後に質問を受け付け終了となった。
質問の回答は分かり次第随時共有しつつ、次はいよいよ、社内コンペである。

 

5.21案の熱量!デザイン案プレゼン当日

202571日。
私に用意された席は、モニター正面のSSだった。


オリエンからプレゼン(と略してみる)までは1カ月半と短期間ながら(もちろんデザイナーさんは他の案件も同時進行中である)、4名から合計21案ものデザイン案が提出された。
正直、こんなに沢山の案が出されるとは思っていなかった。

一人ひとりの口から、モニターに映し出されたデザイン案の資料と共に、商品名の由来や、デザインへの熱い想いが伝えられる。
様々な角度から考えられて生み出されたデザインの数々。
こういったデザインのプレゼン現場に立ち会ったことのない私は、終始あんぐりと口が開いてしまうほど圧倒される、どれもこれもが個性の光る素晴らしいものだった。
(提出されたデザイン案は最後に!)

6.どれを選ぶ?迷いに迷った最終決断

202579日。
社内デザインコンペが開催された。
メンバーは、社長、専務、常務、私の4人。
出力されたデザイン案が、テーブル一面に並ぶ。

「選べない・・・・・!!」

全てのデザインを、ミニチュアボトルにして販売したいくらいだった。

 

ミニ醤油21本セット(化粧箱入り)


だが、そうは言っていられないので、デザイン4案を厳選。そしてそれに対して「こういうパターンも見てみたい」という追加の提案が出される。

2025723日。
アップデートされたデザイン案でのコンペが開催された。メンバーは同じ。
今度は出力されたデザインが、ホワイトボードに貼り付けられていく。
またもや選定は難航に及んだが、ようやく1つが選ばれることになる。

ここからは、醤油メーカーのタケサン株式会社さんとラベルの印刷会社さん、デザイナーさん(と仲介役の私)とで、ラベルに記載される文言、文字の大きさ、賞味期限やバーコードの位置など、細部について何度も調整が行われる。
印刷機器との兼ね合いもあり、デザインは文字通りミリ単位の精度が要求される。根気との戦いでもある。

そして、20251016日、全てのデザイン調整が完了した。
あとは醤油が充填され、ラベルが貼られた商品の納品を待つばかりだ。

 

7.ついにご対面、ひだまり醤油誕生!

20251212日、発案から約8カ月。
ついに、完成したオリジナル商品 ひだまり醤油 ご本人との初対面である。

大切に、育んでゆきます
(指がしわっしわなのはご愛嬌
🙌


実際に手に取ってみると、わが子のように可愛い。
(私はデザインを生んでいないが。)
デザイナーさんをはじめ、関わった全ての方に感謝だ。
この醤油の詳細は、また【商品紹介記事】にて話せたらと思う。


オンラインストアでも販売中!

 

 

8.惜しくも日の目を浴びなかった珠玉のデザインたち

最後に、惜しくも商品化とはならなかったが、珠玉のデザインの数々を公開したいと思う。
「どの案も素晴らしくて選べない!」と社内で悶絶したあの日の興奮をお裾分けする。


このミニ醤油セット欲しい(切実)

ラベルデザイン全貌