2025/09/23 14:31
おにぎりが好きだ。
特に祖母の作ってくれる、塩おむすびが大好きだ。
ごはんが好きなのかと言うとそこまでではなく、むしろ ほかほかの白いごはん はあまり好きではない。
小さい頃、自分のお茶碗によそわれた白いほかほかのごはんを、隣に座る祖母のお茶碗に真っ先におすそわけ、というのが夕飯時の日課になっていた。
そんな白いごはんが苦手な私だが、おにぎりは別だ。
仕事に持って行くお昼ごはんは大抵おにぎり。のみ。そのくらい好きだ。
同じ白い米粒の集合体なのに、少し形が変わるだけで格段に美味しくなり、何個でも食べられてしまう。
そのおにぎりの中でも、群を抜いて好きなのが、 冒頭にもある 祖母の作る塩おむすび だ。
「おかえり。おむすび食べる?」
学校から帰るとときどき、祖母がおむすびを作ってくれていた。
夕飯のことなど気にせず、2、3個すぐに平らげた。
祖母の手は、私のよりもひとまわり大きく、節くれだっていてしわしわ。
でも、手のひらはほんのり桃色で、いつだってあたたかい。
両手のひらにピシャピシャッと塩水をつけ、左手にごはんを乗せ、ぎゅっくるっ、ぎゅっくるっと、リズム良く回転させる。
ごはんは祖母の手の中で、段々と形に、どんどん魅力的になってゆく。
大きな手で作られたおむすびは意外にも小さく、ずんぐりしていた。
ほおばると塩味が効いていて、見た目に反してキリっとした味わいである。
ケイコロールさんのおにぎり袋が届いた日、祖母の、小さくて分厚いおむすびを思い出した。
大きめのおにぎりがぴったり2個入る袋は、祖母のおむすびなら3個くらい入りそうだな、なんて思いながら。
「おかえり。おむすび食べる?」
ときいてくれる、大好きな祖母はもういない。
でも、目を閉じると、いつだってあの塩おむすびをほおばることができる。
今日のおむすびは、いつにも増してしょっぱかった。